心臓病の愛犬と「楽しく」暮らすため、獣医師が情報を発信します! 僧帽弁閉鎖不全症、拡張型心筋症など良くある病気の説明から、 飼い主として出来る事まで幅広くお伝えします。
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Author:心臓の獣医師
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■前回までのあらすじ■
心臓が病気になった! ↓ 心臓の効率が落ちる ↓ いつもより頑張って血液を送り出す量を維持! ↓ 無理がたたる事により、心臓自体は弱っていく… ↓ 心不全(しんふぜん) と言う訳で、心臓が悪くなっていく過程においては、 心臓の頑張りがむしろ悪影響 という一面があります。 そのため、ほとんどの心臓病の治療においては、 いかに心臓に頑張らせないか がテーマであると言っても過言ではありません。 その、 いかに心臓を頑張らせないかという戦略の一つに、「安静」がある訳ですね。 だ・か・ら、安静は大事なのです。 心臓病の時にもらうお薬の多くも、心臓に頑張らせないようにするお薬です。 放っておいたら勝手に頑張る心臓に対して、 「まあ、そんなに頑張らずに気楽に行こうよ」 とブレーキをかけるイメージです。 ですから、安静にするというのは天然の心臓病のお薬とも言えますし、 心臓病のお薬は、ついつい興奮しちゃう子でも心臓を休めてあげられる方法だとも言えます。 僕は現在心臓病を専門としていますが、いいなと思うところは他の分野に比べて 比較的身体に優しい薬が多いという点です。 例えばきっと皆さんがもらっている、 ACE阻害薬(例 エナカルド、フォルテコール、バソトップ、エースワーカーetc) というお薬でしたら、間違って10倍の量を飲ませてしまってもほぼ平気です。 心臓って聞いただけで「うわあ恐ろしい!」みたいな反応を示す人は少なくないですが、 治療は結構マイルドにやっていたりします。 それでは、安静の大事さをお伝えしたところで、 次回からは具体的にどうやって安静にさせるのか?に進みます。
●ご質問
はじめまして。 今年で10歳のキャバリアのオスと暮らしてます。 1年以上前から心臓肥大などが原因で咳や軽い発作を起こすようになり、 通院と毎日薬を飲んでます。 雪が降った次の日に寒いせいか具合が悪そうで、4回倒れました。 夜に倒れた時には意識も朦朧とした様子で、痙攣を起こし口の力も抜けて失禁もしました。 しばらくすると起き上がりしっぽをふっていたのですが、すごく怖かったです。 発作が起きた場合はどうしたらいいのでしょうか? ●回答 ご質問ありがとうございました。 急に倒れられると周りの人間としてはとても驚きますし、怖いですよね。 特に発作は衝撃的な光景ですから、皆さんショックを受けられます。 発作で倒れると言っても、原因がさまざまですが、 ここでは心臓病で発作を起こして倒れた(=失神した)という仮定で お話しをさせて頂きます。 心臓発作で倒れた場合の対処法ですが、安静です。 と書くと、「何も出来ないのか…」のようにお感じになられるかもしれませんが、 むしろ何もしない方が良い場合もあります。 心臓病で失神するのは、脳への血流が足らなくなるからです。 人間でしたら、立ちくらみを思い浮かべてもらえば理解しやすいでしょうか。 立ちくらみを起こした際、どうするのが良いでしょうか? 無理に立ち上がったりしないで、じっとしてる事ですよね。 「じっと見てて、そのまま起きなかったら?」 確かにその可能性はあります。 本当に心臓が原因で失神が起きるレベルになっているのであれば、 心臓病もかなり進行しているでしょう。 しかし、それはもはや失神の対処をどうこうしたからというレベルではありません。 残念ながら、起こるべくして、起こったというべきでしょう。 飼い主さんが責任を感じられる必要はありません。 ちなみに、フワーッと意識を失っていく感じになりますから 激痛を伴ったりなどという事はありません。 手足をバタバタさせる場合もありますが、痛くて暴れているわけではありません。 また、失神の回数自体は治療次第でいくらか減らせるかもしれません。 もちろん、かかりつけの先生もきっと最善の手を尽くされているかと思いますが 失神の事も踏まえてお話しされてみてはいかがでしょうか。 以上で回答になりましたでしょうか? 不明な点はまたご質問下さいね。
心臓は病気になって効率が落ちても、いつもより頑張る事により
血液を送り出す量を維持します。 ところが、その無理がたたる事により、心臓自体は早く駄目になっていきます。 心臓がいよいよ頑張りきれずに音を上げ出した状態を 心不全(しんふぜん) と言います。 ですから、心不全とは病名ではありません。 病気によって、心臓が充分な働きを出来なくなってしまった状態を指します。 心肥大や、心不全という言葉が病名のように扱われていますが、 「(○○病になった影響で、)心肥大なんです。」 「(○○病が進行して、)心不全になりました。」 という風に、カッコの中身が本当はあるんですね。 まあ細かい話になってしまいますので、マメ知識程度の認識で良いですが… 忘れられつつあるかもしれませんが、このトピックは「安静」がテーマです。 次回からまた話が安静につながっていきます。 それでは次回に続きます。
心臓の頑張りによって、全身に送られる血液の量は保たれます。
そのおかげでかなり長い間、何の症状も現れません。 その、かなり長い間とはどれくらいでしょうか? もちろん、その子その子によって違いますが、 1〜2年はザラです。 3〜4年くらいもいるでしょう。 もっと長い子もいると思います。 それくらい長い間、心臓はいつもよりも頑張った状態で動き続けます。 生き物の体は知れば知るほど恐ろしいほど複雑に、正確に、綿密に、 その時の状況に合わせて最適な制御をしています。 この心臓の頑張りもその一つなのですが、 無理した状態は永遠には続きません。 心臓が頑張りきれずに「もう駄目」と音を上げ始める時が来ます。 我々から見ても分かるレベルの心臓病になっていきます。 次回に続きます。
心臓の働きは血液を送る事ですから、心臓がダメになると送り出される血液量が減ります。
心臓としては効率が悪くなる訳です。 ところが、実際にはほとんど送り出される血液量は減りません。 なぜでしょうか? それは、心臓がいつもより頑張るからです。 効率が2割落ちたのなら、2割増しで頑張る! 効率が半分になったのなら、いつもの倍頑張る!! という風に、 心臓の体育会系的・ど根性的頑張りによって、全身に送られる血液の量は保たれます。 そのおかげでほとんどの心臓病の場合、かなり長い間、何の症状も現れません。 その、かなり長い間とはどれくらいでしょうか? 次回に続きます。 |